「平成」から「令和」にかけての支出の変化でもっとも大きな影響は消費税かと考えています。上述の通り、収入面においても社会保険料等の増加により手取り額が減っている現代において、実際の生活における支出においても毎日影響しているのが、この消費税となります。消費税(3%)は平成元年(1989年)4月より日本において初めて導入されました。消費税は消費者が消費した財やサービスに課税するものであり、お金持ちの人も貧しい人も等しく課税されることから、貧しい人の支出の割合はお金持ち人に比べて高くなるという、いわゆる課税の逆進性が問題となっています。このため、消費税導入には国民からも大きな抵抗がありました。例えば、消費税3%の場合、年間300万円の手取りの人が全て消費税のかかるものに支出した場合、年間9万円の金額を多く支出することになります(厳密には家賃等は一部の支出については非課税になるため単純に支出額×3%とならない点に留意ください)。年700万円の支出をする人の9万円と年300万円の支出する人の9万円ではその割合が異なります。このように消費税は我々の生活に大きな影響を与えることものとなります。
この消費税は1997年4月に3%から5%(地方税含む、以下同様)へと税率が引き上げられ、その後、2014年4月に5%から8%へと引き上げられ、令和元年(2019年)10月についに10%まで引き上げられました。10%税率引き上げに際しては、食料品や新聞等については8%を適用する軽減税率が適用されたものの、子育て世代に必ず必要となるオムツ等の必要品は軽減税率適用除外になるなど、国民にとって非常にわかりにくい制度なっています。
消費税の上述の通り、課税の逆進性をもったものであり、その負担感は各家庭において異なるものの、間違いなく我々の生活に大きな影響を与えるになります。平成元年においては3%であったのが、令和元年(2019年)10月には10%まで上昇したことにより7%も増加しています。仮に年間手取り300万円の人がすべて消費税10%に対する支出を行った場合(厳密には軽減税率及び非課税のものがあるため10%とならないが)、平成元年における消費税に対する支出が9万に対して30万円と21万円も増加することになります。21万円があるとないとでは、各家庭において大きな差異が発生するものではないでしょうか。
このように消費税は不可避に支払いを行っているため、コストとして意識しないことが多いですが、「平成」と「令和」を単純に比較した場合、その差が大きいことが見て取れるかと思います。