お金の考え方

物価高で買い控え!?物価高のなかで百貨店の業績はどうなっている?

近年の物価高の影響で、消費者のマインドは買い控えに向かっています。実際の物価上昇率以上に「高くなった」と感じる人が多いかと思います。その理由は、食料品やガソリンといった頻繁に購入するものの値上げが目立つからだと言われています。ただし、物が売れていないとうことではなく、消費者は「必要なもの」と「贅沢品」を明確に分ける傾向が強まっていて、普段の生活必需品では割引やセールを活用する一方、特別な体験や高品質の商品にはお金をかけるようになっています。

それでは、この物価高のなか、高価格帯を取り揃えている百貨店の業績状況はどのように推移しているかについて確認してみようかと思います。

 

日本の大手百貨店について

日本の百貨店の大手といえば、いくつか象徴的な企業があります!それぞれ独自の強みを持っていますので、簡単にご紹介します。

 

三越伊勢丹ホールディングス

三越伊勢丹ホールディングスは、日本を代表する百貨店グループで、国内では主要都市を中心に、20店舗の百貨店を展開している。加えて、中小型店やその他の業態を含む約130店舗を展開しています。また、国外では、アジアを中心に展開していて、百貨店の店舗数は20店舗となっています。

主力店舗は、「伊勢丹新宿本店」や「日本橋三越本店」など、象徴的な店舗が多いのが特徴となります。これらの店舗は高級品から日常品まで幅広い商品を提供し、国内外のお客さまに親しまれています。

 

高島屋

高島屋は1831年(天保2年)に京都で創業し、当時は呉服店として始まりました。その後、全国に拡大し、現在では百貨店業界の重要な存在となっています。国内は、店舗17店舗、海外は、5店舗を展開しています。所有している店舗のうち、大阪店が全国で最も大きな売上を計上しており、ついで日本橋店となっていることから、関西において大きな影響力を持っているといえます。京都で創業したということに起因していることから、地元で愛されているのかもしれません。また、高級品や専門的な商品ラインナップが特徴で、国内外の多様な顧客層に対応しています。

 

J.フロントリテイリング

J.フロントリテイリングと聞くとあまりなじみがないかもしれませんが、大丸や松坂屋を運営している会社と聞けば身近に感じられるかもしれません。J.フロントリテイリングは、日本の小売業界を牽引する企業グループで、特に「大丸」や「松坂屋」という老舗百貨店を中心とした事業を展開しています。

グループの核となる事業で、大丸や松坂屋を通じて富裕層向けの商品ラインナップや外商サービスが特に評価されています。また、オンラインストア「DEPACO」を運営し、デジタル化も推進中です。

域活性化を目的とした再開発プロジェクトに力を入れており、「GINZA SIX」や「心斎橋パルコ」などの大型商業施設を展開しています。

 

エイチ・ツー・オー リテイリング

エイチ・ツー・オーリテイリングと聞くとあまりなじみがないかもしれませんが、関西を中心に展開する小売業グループで、特に百貨店「阪急百貨店」と「阪神百貨店」を運営している会社となります。本社は大阪梅田にあり、近畿地方を拠点とした「関西ドミナント戦略」を採用している。この戦略に基づき、リソースを地域に集中させた経営を展開しています。阪急百貨店はファッションや高級品に特化し、洗練された買い物体験を提供。一方で阪神百貨店は食品やデパ地下商品の充実に力を入れていて、庶民派の魅力が際立っているといった特徴があります。百貨店の他にも、スーパーマーケットや専門店の運営を行い、幅広い顧客層に対応。たとえば「イズミヤ」や「阪急オアシス」のような食品スーパーを手掛けています。

 

百貨店の業績

上記のような特徴ある各百貨店ですが、その業績はどのような状況なのでしょうか。

以下、2023年度及び2024年度の各社の決算状況となります。

【2023年度】

三越伊勢丹
ホールディングス
高島屋 J.フロントリテイリング エイチ・ツー・オー
リテイリング
決算期 2024年3月期 2024年2月期 2024年2月期 2024年3月期
売上高 536,441百万円 385,830百万円 407,006百万円 657,400百万円
経常利益 54,369百万円 45,937百万円 43,048百万円 26,188百万円
当期純利益 55,580百万円 31,620百万円 30,247百万円 21,905百万円

【2024年度】

三越伊勢丹
ホールディングス
高島屋 J.フロントリテイリング エイチ・ツー・オー
リテイリング
決算期 2025年3月期 2025年2月期 2025年2月期 2025年3月期
売上高 555,517百万円 412,769百万円 441,877百万円 681,759百万円
営業利益 76,313百万円 57,503百万円 58,199百万円 34,830百万円
当期純利益 52,814百万円 39,525百万円 41,512百万円 34,842百万円

 

上記の通り、売上高に関してはいずれもの会社も2023年度から2024年度にかけて増加していることが見て取れます。

  • インバウンド需要の増加: 円安が訪日観光客の購買意欲を後押しし、免税売上高が大幅に伸びたことが要因
  • 構造的改善: 百貨店業界では「オーバーストア」問題を解消するため、多くの閉店を進めました。結果として、過剰競争が緩和され、既存店舗の効率が改善したのも業績向上に寄与
  • 高額商材の好調: ラグジュアリーブランドの化粧品や時計、宝飾品などが国内外での売上を大きく牽引しました。特に都市部ではこれらの商品の動きが活発でした
  • 景気回復の影響: 日本国内の経済回復に伴い、高額商品の購買が活発化。百貨店が提供する特別なサービスがさらに価値を高めています

インバウンド需要により、業績がよくなるのはいいのですが、正直なところ景気がよくなって給料が上がっているわけでもないので、日本人にとってはあまりメリットを感じられない部分かもしれませんが、結果として、百貨店の各社は、業績好調といったところに繋がっていることがわかりますね。

 

まとめ

日本の百貨店業界では、インバウンド需要の増加が業績の押し上げにつながっています。これは、日本全体にとって良いことであり、特に日本製品の品質が評価される結果として売上が伸びているのであれば、喜ばしいことです。

しかし一方で、円安の影響により、外国人観光客に安価で買い叩かれる形になっている可能性もあり、手放しで喜べない部分があるのも事実です。この点はやや残念に感じられるかもしれません。

 

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