お金の考え方

【徹底比較】一軒家とマンション、生涯で高いのはどっち?


 

マイホーム購入を検討する際、物件価格に目が行きがちですが、購入後の「維持費」も、長期的な家計を左右する重要な要素です。一軒家とマンションでは、その維持にかかる費用と種類が大きく異なります。

この記事では、一軒家とマンションの維持費を具体的な項目ごとに徹底比較し、生涯でかかる金額のリアルな目安を公開します。あなたのマイホーム計画の参考になれば幸いです。


 

1. 一軒家とマンションの維持費、構造上の違いとは?

一軒家のメリットは、プライバシーの確保や庭付きの自由な暮らし。リフォームも自由で、騒音トラブルが少ない。一方で、デメリットは維持管理の負担や防犯面の不安、駅から遠い案件が多いことがあげられます。

一方でマンションのメリットは、一軒家と比較してセキュリティや管理体制が整っていること。共用施設も充実している場合があります。ただし、デメリットとしては管理費や修繕積立金がかかり、自由な改築が難しいことがあります。

そんな一軒屋とマンションですが、一軒家(戸建て)とマンションでは、費用の発生源となる「所有範囲」と「管理体制」に決定的な違いがあります。

 

1-1. 一軒家(戸建て)の維持費の特性

 

一軒家の場合、土地と建物の「全て」が個人の所有物です。

  • 所有範囲: 建物全体(構造躯体、屋根、外壁、内装、設備)と、敷地内の外構(庭、塀、駐車場など)
  • 管理体制: 全て自己責任で管理・修繕計画を立てる必要がある。費用は全て所有者が負担。
  • 特徴: 自分のペースで修繕時期や内容を決められる自由度が高いが、突発的な高額出費のリスクも伴う。

 

1-2. マンションの維持費の特性

 

マンションの場合、専有部分と共用部分に分かれます。

  • 所有範囲:
    • 専有部分: 住戸内の壁の内側(内装、設備など)。維持管理は個人。
    • 共用部分: 廊下、エントランス、エレベーター、外壁、屋根など。維持管理は区分所有者全員で構成される管理組合が行う。
  • 管理体制: 管理組合が定めた計画に基づき、毎月徴収される「管理費」と「修繕積立金」によって維持される。
  • 特徴: 計画的な修繕が行われる安心感があるが、毎月の固定費が高く、管理組合の決定には従う必要がある。

 

2. 維持費の項目別比較:何に、いくらかかるのか?

 

一軒家とマンションの維持費を構成する主要な項目について、具体的な内容と金額の目安を比較します。

費用項目 一軒家(戸建て) マンション 備考
修繕積立金 該当なし あり 共用部分の大規模修繕のための積立金。
管理費 該当なし あり 共用部分の日常管理(清掃、電気代、事務費など)のための費用。
固定資産税・都市計画税 あり あり 土地・建物に対して課税される地方税。
火災保険・地震保険 あり あり 建物の構造や所在地により金額が異なる。マンションは専有部分+共用部分の保険料を管理費等で負担。
リフォーム・修繕費 あり あり 一軒家はすべて自己負担。マンションは専有部分のみ自己負担。
設備交換費用 あり あり 給湯器、エアコン、キッチン、浴室などの交換費用。
外壁・屋根塗装費用 あり 該当なし 約10~15年周期で実施。マンションは修繕積立金で対応。
シロアリ対策費用 あり 該当なし 木造住宅の場合、約5年周期で実施。
駐車場代 該当なし(敷地内なら) あり(有料の場合) マンション敷地内の駐車場は月額費用がかかることが多い。

 

3. 【金額のリアル】具体的な維持費の数値比較

 

以下の比較は、一般的な築年数・広さの物件を想定した概算の目安です。地域や物件のグレードによって大きく変動します。

 

3-1. 毎月・毎年かかる「固定費」の比較

 

費用項目 一軒家(戸建て:築15年、延床100㎡) マンション(築15年、70㎡) 発生頻度
修繕積立金 該当なし 15,000円~25,000円/月 毎月
管理費 該当なし 10,000円~18,000円/月 毎月
固定資産税・都市計画税 10万円~15万円/年 10万円~15万円/年 毎年
火災保険・地震保険 2万円~4万円/年 1万円~3万円/年(専有部分のみ) 毎年
合計(概算) 月平均 約1.0~1.5万円 月平均 約3.8~5.6万円
  • ポイント: 物件に異なるものの、マンションは、修繕積立金と管理費で月平均で3万円以上の固定費が確実にかかります。一軒家は固定費自体は低いですが、後述の修繕費用を自力で積立てる必要があります。

 

3-2. 数年~十数年に一度かかる「修繕費」の比較

 

費用項目 一軒家(戸建て:築15年、延床100㎡) マンション(築15年、70㎡) 周期
外壁・屋根塗装 150万円~300万円 該当なし(積立金で対応) 10~15年
給湯器交換 20万円~50万円 20万円~50万円 10~15年
シロアリ対策 15万円~30万円 該当なし(木造以外) 5年
内装・設備リフォーム 200万円~500万円 150万円~400万円 15~20年
大規模修繕(共用部) 該当なし 該当なし(積立金で対応) 10~15年
合計(概算/30年間) 約800万円~1,500万円 約500万円~1,000万円(専有部分のみ)
  • ポイント:
    • 一軒家は、外壁・屋根の塗装という高額な費用が必ず発生します。これを計画的に自分で貯蓄する必要があります。
    • マンションは、専有部分の修繕(内装や給湯器など)は自己負担ですが、最も費用のかかる共用部分の修繕費用は修繕積立金によって賄われます。

 

4. 結論:生涯の維持費は「トータルコスト」で考える

 

一軒家とマンション、どちらの維持費が高いかを一概に結論付けるのは難しいです。なぜなら、「毎月の固定費」と「将来の積立方法」が大きく異なるからです。

 

4-1. 毎月の「見かけの維持費」が高いのはマンション

 

先述の通り、管理費と修繕積立金があるため、毎月の支払い額は確実にマンションの方が高くなります。

  • マンション: 毎月固定で約3.8万円~5.6万円が確実に出ていく。
  • 一軒家: 毎月の支払い(税金・保険の積立)は約1.0万円~1.5万円と低い。

 

4-2. 生涯の「トータルコスト」は一軒家の方が高くなる可能性がある

 

一軒家の場合は、毎月の出費は少ないものの、外壁・屋根塗装などの高額な修繕費用をすべて自分で準備しなければなりません。

もし、この積立を怠ると、10年後などに数百万円の一時金を捻出できず、家の劣化を招くリスクがあります。

【生涯コストの考え方】

一軒家(自己積立が必須)

  • 毎月の固定費(税金・保険の積立):約1.5万円
  • 外壁・屋根の積立:月々約2.0万円(300万円/15年)
  • 実質的な月負担: 約3.5万円

マンション(積立金・管理費含む)

  • 修繕積立金+管理費+税金・保険:約5.0万円

このように、一軒家で修繕費用を計画的に積立てると、マンションと月々の実質負担額は大きく変わらないか、老朽化による修繕箇所の多さから一軒家の方が高くなるケースもあります。

但し、一軒家については、どの程度修繕するのは、個々人で変わってくることから、個人の判断で調整できる部分も多いかと思います。


 

5. まとめ:タイプ別おすすめの選択肢

結局、どちらを選ぶべきかは、あなたのライフスタイルやお金の管理方法によって異なります。

選択肢 メリット デメリット こんな人におすすめ
一軒家 自由度が高い、毎月の固定費が安い、土地が資産になる。 修繕計画・積立をすべて自分でやる必要がある、高額な突発出費のリスク。 計画的にお金を管理でき、DIYや自宅のメンテナンスに興味がある人。
マンション 管理・修繕をプロに任せられる、セキュリティが充実している。 毎月の固定費が高い、自由度が低い、管理組合の運営に関わる必要がある。 煩雑な家の管理から解放されたい、確実な積立で安心したい人。

マイホームは人生で最も大きな買い物です。物件価格だけでなく、数十年後の維持費まで見据えた計画を立てて、後悔のない選択をしてください。

 




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