お金の考え方

「オルカン一本」には見落とされがちなリスク

「新NISAを始めるなら、とりあえず『オルカン』を買っておけば間違いない」

SNSやYouTube、投資書籍で繰り返し語られてきたこのセオリー。確かに、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)などの全世界株式ファンドは、これ一本で世界中の企業に分散投資できる優れた商品です。

しかし、歴史的な円安水準が続く今、「オルカン一本」には見落とされがちなリスクが潜んでいます。

それは、「通貨の偏り」です。

今回は、大人気商品「オルカン」の中身を解剖し、円高局面に潜むリスクと、私たちが取るべき対策について解説します。

 

円安と株安のダブルパンチは、資産を大きく目減りさせる可能性があります。

1. 「全世界」と言いつつ、中身は6割以上が「アメリカ」

「全世界株式」という名前から、世界中の国々にバランスよく投資しているイメージを持つかもしれません。しかし、その実態は大きく異なります。

2025年4月末時点でのeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の国別構成比率を見てみましょう。

国・地域 構成比率
米国 63.1%
日本 5.0%
英国 3.4%
カナダ 2.8%
その他 25.7%

なんと、全体の6割以上が米国で占められています。通貨別で見ても、米ドルの比率は60%を超えています。

つまり、「オルカンを買う」ということは、実質的には「資産の半分以上を米ドルに換える」こととほぼ同義なのです。

2. 恐怖のシナリオ:株安と円高の「ダブルパンチ」

米国株への依存度が高いこと自体は、米国経済の強さを信じるならば悪いことではありません。問題は、為替レートの変動です。

現在のような円安局面(例:1ドル=150円)では、ドル建て資産の価値は円換算で膨らみます。しかし、これが円高(例:1ドル=100円)に振れたとき、資産価値はどうなるでしょうか?

シミュレーション:100万円投資した場合

もし、米国株価が20%暴落し、同時に1ドル150円から100円へ急激な円高が進んだ場合を想定してみましょう(いわゆる「ダブルパンチ」)。

  1. 株価下落: 100万円 → 80万円(ドルベースでの価値)
  2. 為替差損: 1ドル150円 → 100円(価値が2/3に)

80万円 × (100 ÷ 150) ≈ 53.3万円

なんと、資産がほぼ半減してしまいます。

「株価はいつか戻る」と信じて待つことはできても、為替レートが再び150円に戻る保証はどこにもありません。一度失われた為替差益を取り戻すには、株価が2倍近く上昇しなければならないのです。

3. 「円」を持つことも立派な分散投資

では、どうすればよいのでしょうか?答えはシンプルで、「円資産」もバランスよく持つことです。

「日本円はオワコン」「円の価値は下がり続ける」という極端な意見もありますが、私たちは日本で生活し、日本円で買い物をしています。生活防衛資金や、数年以内に使う予定のあるお金(教育費や住宅購入資金など)まで全て外貨建て資産(オルカン含む)にしてしまうのは、あまりにリスクが高すぎます。

理想的なポートフォリオの考え方

新NISAの枠を全てオルカンで埋めるのが「正解」とは限りません。

  • 🛡️ コア資産(守り): 現金(日本円)、個人向け国債(変動10)
  • ⚔️ サテライト資産(攻め): オルカン、S&P500

例えば、資産の50%は日本円で持ち、残りの50%をオルカンに投資すれば、仮に急激な円高が来ても、資産全体へのダメージは半分で済みます。

円、株、そして金(ゴールド)。異なる値動きをする資産を組み合わせることが重要です。

また、金(ゴールド)を組み入れるのも有効です。金は「無国籍通貨」とも呼ばれ、有事の際やインフレ時に強い資産です。株価暴落時のクッション役として機能することが期待できます。

まとめ:思考停止の「オルカン一本」から卒業しよう

「オルカンは最強の投資信託」であることは間違いありません。しかし、それは「万能」であることを意味しません。

特に円安が進んだ現在、これから新NISAを始める人は、「為替リスク」をこれまで以上に意識する必要があります。

  • ❓ 自分の資産のうち、何割が「外貨」になっているか?
  • ❓ 明日、1ドル100円になっても生活に困らないか?

一度立ち止まって、ご自身のポートフォリオ(資産配分)を見直してみてはいかがでしょうか。真の分散投資は、株式だけでなく、通貨の分散も考えて初めて完成するのです。

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